長岡で購入できるお土産として、観光客に人気があるのは柿の種です。長岡駅の駅ビルのCoCoLoでも、多くの観光客が購入しています。実は、この種類のおせんべいが日本で初めて作られたのは、長岡市です。このお菓子の元祖として地元でも良く知られているのが、浪花屋製菓というショップです。このお店で柿の種を使用するために使用している生地は、もち米をメインの材料として使用しているのが大きな特徴です。
生地は、冷蔵庫の中で2日ほど寝かせて、十分に固められます。固まった生地はカットされて、それぞれ焼き上げられます。浪花屋製菓では焼き方にもこだわっていて、きれいな焼き色がつけられるように、熱をできるだけ逃さないようにして、おせんべいを焼き上げています。高温でしっかりと焼くことにより、おせんべいに独特の香ばしさを出すこともできるのが魅力です。200度程度の温度で10分ほど焼けば、おせんべいは完成します。何もつけない状態でもおいしいのがこのお店のおせんべいの特徴ですが、味をつけることで味わいがより一層深くなります。
味付けをするために使用しているのは、地元で作られた醤油や唐辛子などの材料を使用した、独自のタレです。このタレの味のポイントになっているのは、生地に使われているもち米の味わいを生かすことができるように、味付けが工夫されていることです。このタレには、甘味を出すための砂糖は使用されていません。砂糖をタレに使わないことにより、もち米の自然の甘さを引き立てることができるようになっています。おせんべいは基本的には機械で製造していますが、一部に人間の手作業を加えることで、味の完成度がさらにアップしています。
このお店で柿の種が作られるようになったのは1920年代のことで、創業者の奥さんのある行為がきっかけになりました。その日いつものように創業者は、金型を使用してあられを作っていましたが、奥さんがうっかりしてその金型を踏んづけてしまいました。奥さんに踏みつけられた金型は形が大きく変形してしまったのですが、当時は金型が高価であったため、創業者は修理した金型をそのまま使用し続けました。この変形した金型から作られるおせんべいが柿の種に似ていたことが、現在販売されている商品のルーツになっています。当時から数えるとすでに1世紀近くの年月が経過していますが、今でもこのおせんべいは日本人に人気のお菓子として、長岡だけでなく日本全国で愛されています。