2026年8月の北海道マラソンで、不破聖衣来さんが初マラソンながら2時間26分04秒の2位に入りました。けがで長く実戦から遠ざかっていた時期を知る人ほど、この復活劇には驚かされたはずです。
そこで今回は、不破聖衣来さんの現在の所属と成績、今後の予定、そして姉・妹・父親をめぐる噂まで、確認できた情報を順に整理していきたいと思います。

出典:インスタグラム
不破聖衣来の現在は?
いまの不破さんは、三井住友海上女子陸上競技部に所属する23歳の実業団ランナーです。2025年4月に入社して2年目。トラックと駅伝で実績を積んできた選手が、2026年の夏にフルマラソンへ舞台を移し、いきなり結果を出しました。
北海道マラソン2位の詳細
2026年8月30日、札幌市の大通公園を発着点に「北海道マラソン2026」が開催されました。
サンケイスポーツの報道によれば、約2万人のランナーが集まった大会です。女子の部で不破さんは2時間26分04秒をマークし、なんと初挑戦で2位に入っています。
優勝したのは新谷仁美さん(積水化学)で、タイムは2時間24分14秒の大会新記録でした。
新谷さんが北海道マラソンを走るのは2008年大会で2位に入って以来18年ぶり2度目のことで、フルマラソン自体も2024年3月以来2年半ぶりだったそうです。3位は竹山楓菜さん(TOTO)で、上位3人がMGCの出場条件を満たしました。
レース当日、スタート時点の気温は19.9度。真夏のマラソンとしては走りやすい条件でしたが、後半は強い向かい風が吹いていました。
不破さんの走りは序盤から積極的で、男子ランナーに囲まれた女子の先頭集団で前方に位置を取り、中間点は1時間12分24秒で通過します。給水のタイミングを利用して、新谷さんに10メートル前後の差をつける場面もありました。
ただ、30キロを過ぎてから差が開きます。
力強く前に出る新谷さんについていけず、ペースが落ちました。ゴール時の差は1分50秒。前半が1時間12分24秒、後半が1時間13分40秒なので、後半だけで1分以上失った計算になります。
ただ、もともとの目標は2時間30分でしたので、それを4分近く上回るタイムで走り切ることができ、本人も「ひとまず安心することができた」と話しています。
(出典:サンケイスポーツ「不破聖衣来、初挑戦2位に満足せず『タイムも物足りないし、まだまだ力が足りない』」、陸上競技記録サイト「不破聖衣来が2時間26分04秒で2位!MGC出場権手にし『マラソンでロス五輪へ』の第一歩刻む」、FNNプライムオンライン「新谷仁美、18年ぶり北海道でMGCへ」)
レース後の体調とコメント
ゴール直後の不破さんは、うれしさと悔しさが同居した表情だったと報じられています。
「終わってみるとあっという間でした」と振り返りつつ、30キロまでは「自分としては楽に走れていた」そう。心肺には余裕があったものの、終盤は別の疲れが出たようです。
「呼吸が上がるようなことはなかったが、内臓系の疲労がたまり始めたのと、筋肉を動かすエネルギーが少しずつなくなってしまった」
フルマラソン特有の消耗を、体感としてそのまま言葉にした証言だと思います。夏のレースだけに、暑さで胃腸に負担がかかりやすいことも影響していそうです。
レース後に大きな故障の報告はありません。ただ本人は「タイムも物足りないし、まだまだ力が足りないということを痛感した」と話し、次のレースは未定のまま「もっと練習を積んで力をつけ直したい」と前を向いています。
18歳で1万メートルの日本歴代3位を出した逸材が、けがを乗り越えて23歳で新たな種目に踏み出した。その初戦としては、十分すぎる内容だったのではないでしょうか。
所属と基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 2003年3月25日(23歳) |
| 出身地 | 群馬県高崎市 |
| 身長 | 154cm |
| 血液型 | A型 |
| 所属 | 三井住友海上女子陸上競技部(2025年入社) |
| 所属部署 | コーポレートコミュニケーション部 |
| 出身校 | 高崎市立大類中学校 → 高崎健康福祉大高崎高校 → 拓殖大学 |
自己ベストは次のとおりです。
| 種目 | 記録 | マーク時期 |
|---|---|---|
| 1500m | 4分24秒50 | 2018年8月2日 |
| 3000m | 9分07秒48 | 2021年7月10日 |
| 5000m | 15分20秒68 | 2021年7月17日 |
| 10000m | 30分45秒21(日本歴代3位) | 2021年12月11日 |
| ハーフマラソン | 1時間09分39秒 | 2026年2月8日 |
| マラソン | 2時間26分04秒 | 2026年8月30日 |
この表で目を引くのは、やはり10000メートルの30分45秒21でしょう。
拓殖大1年の18歳で出した記録で、当時は日本歴代2位、現在も3位に位置しています。ペースメーカーなしの独走で、前半5000メートルを15分31秒、後半を15分14秒でまとめた内容でした。
ただ、そこからが長かった。
2年時から故障の影響で、約1年半にわたって実戦から遠ざかります。それでも4年時に復調の兆しをつかみ、2025年春に三井住友海上へ。5月の東日本実業団選手権10000メートルで社会人デビューし、日本人3位の5位入賞を果たしました。
2026年2月8日の全日本実業団ハーフマラソンでは、後半に大雪に見舞われるなか1時間09分39秒で4位。これがハーフ初挑戦でした。
トラック、駅伝、ハーフ、そしてマラソンへ。種目の幅を広げながら、着実に階段を上がってきたことがわかりますよね。
(出典:三井住友海上 女子陸上競技部 不破聖衣来プロフィール、Number Web「『私の原点はおじいちゃん』初の1万mで日本歴代2位の衝撃」)
不破聖衣来の今後の予定
2026年10月時点で、次のレースは正式に発表されていません。
ただ年間の流れをたどると、見えてくるものがあります。2026年11月のクイーンズ駅伝、そして2027年10月のMGC。この2つが大きな節目になりそうです。
クイーンズ駅伝での実績
2025年11月23日、宮城県で第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)が行われ、不破さんは実業団駅伝に初めて出場しました。
任されたのは大会最長の3区、10.6キロです。11番手で中継所を出発すると、8キロ過ぎで2人を抜き、10キロ手前でも3人をかわします。合計6人抜きで、トップから5番手まで順位を押し上げました。
タイムは34分00秒の区間6位。
チームは4位に入り、6年ぶりに「クイーンズ8」と呼ばれる上位8チームの座に返り咲いています。この4位は、三井住友海上にとって2009年大会の優勝以来16年ぶりのトップ4入りでもありました。
その前の10月、予選にあたるプリンセス駅伝では補欠でした。チームは2時間15分53秒の大会新記録で初優勝を果たし、不破さんは本戦でその力を示した形です。
2026年は11月22日に第46回大会が予定されています。三井住友海上は8年連続32回目の出場で、前回4位の成績によってシード権を持っています。
ここで気になるのは、マラソンを走ったあとの体の戻り具合です。8月末にフルを走り、11月に駅伝。中2か月半という間隔は、決して長くありません。3区に起用されるのか、それとも短い区間でスピードを生かすのか。チーム編成の発表を待ちたいところです。
なお、三井住友海上のクイーンズ駅伝優勝は2009年大会が最後です。2000年の初優勝(当時は三井海上)から3連覇を含めて2009年までに計7度頂点に立ちましたが、そこから遠ざかっています。
2026年に制すれば17年ぶりの優勝となります。名門が久々のタイトルを狙う年でもあるわけで、そこに不破さんがどう絡むのか、見どころのひとつと言えるでしょう。
(出典:日刊スポーツ「【クイーンズ駅伝】黄金ルーキー不破聖衣来は6人抜き 3区区間6位デビュー」、月刊陸上競技「4位・三井住友海上が16年ぶりトップ4入り、5年ぶりシード獲得」、TBS クイーンズ駅伝2026 歴代優勝チーム・出場チーム)
MGCとロス五輪への道
北海道マラソンは、MGCシリーズ2026-2027のG2大会に位置づけられていました。MGC出場権の条件は、2時間32分00秒以内で日本人3位以内に入ること。不破さんはタイムも順位もクリアし、一発で切符をつかんでいます。
尚、MGCは2027年10月3日、愛知県名古屋市で開催されます。発着点はパロマ瑞穂スタジアムで、名古屋城周辺などを巡るコース。スタート時刻やコースの詳細は、日本陸連の公式発表で確認できます。
テレビ朝日系列とABEMAで中継される予定ですが、ここで上位に入れば、2028年ロサンゼルス五輪の代表がぐっと近づきます。
逆に言えば、それまでの1年余りでどれだけ力を積めるかが勝負どころ。不破さん自身も「1戦、2戦とキャリアを積んでいけば上位との差は詰まっていく」と話しており、フルマラソンの経験値を強く意識していることがうかがえます。
マラソンは、走った回数がそのまま強さになる種目とも言われます。
初戦で2時間26分04秒。2本目、3本目でどこまで縮められるのか。できれば2027年の本番前に、もう1本はフルを走っておきたいところですよね。ただ、故障歴の長い選手だけに、詰め込みすぎない調整も必要になります。
2027年10月3日という日は、その集大成の日になると思います。
(出典:日本陸上競技連盟「MGCコース決定!」、MGC公式サイト)

出典:インスタグラム
不破聖衣来の家族構成
不破さんは三姉妹の次女として育ちました。姉も妹も陸上競技を続けている、いわば「陸上一家」です。ここからは、公開されている情報をもとに家族の輪郭をたどります。
姉・亜莉珠との絆
姉の不破亜莉珠(ありす)さんは、聖衣来さんより4学年上。現在は滋賀を拠点とするセンコー女子陸上競技部で走り続けています。

出典:インスタグラム
不破亜莉珠さんは、中学時代から全国区の選手でした。2014年には群馬・高崎大類中からジュニアオリンピック3000メートルに出場し、9分36秒26で7位。後に東京五輪1500メートル8位となる田中希実さんらと同じレースを走っています。高崎健康福祉大高崎高では全国高校駅伝にも出場しました。
卒業後はホクレンに進みますが、北海道で伸び悩みます。転機は2021年、滋賀が拠点のセンコーへの移籍でした。「私、このままじゃダメだ」という思いが背中を押したと語っています。
妹が陸上を始めたきっかけは、この姉でした。小学生のころ、姉が毎朝の持久走練習に妹を連れ出し、妹はその背中を追いかけたといいます。4学年差の姉妹が同じ道に進んだのは、才能の遺伝というより、毎朝の習慣の積み重ねだったのかもしれませんね。
2023年1月の日刊スポーツのコラムで、亜莉珠さんはこんな本音も明かしています。
「妹が過去に爆走していたのもあって、すごく『姉』という感じで注目されることが多くなって。もっと自分が活躍して、自分を、私を見てくれたらなと思います」
「不破聖衣来の姉」という呼ばれ方への、正直な複雑さ。一方で、姉妹は互いに刺激し合う関係でもあります。
「私が走れるようになってきて、逆に妹が悩んでいれば、私が頑張っているから『聖衣来も頑張んなきゃ!』って」
そう笑っていたそうです。その後も亜莉珠さんは現役を続け、2026年1月の全国都道府県対抗女子駅伝では群馬のアンカー9区を走りました。姉が走り続ける姿そのものが、妹にとっての励みになっているのでしょう。
(出典:日刊スポーツ「宿命受け止める不破聖衣来の姉亜莉珠、冬の京都で触れた姉妹の絆」)
妹・珠衣琉の現在
三女の不破珠衣琉(じゅえる)さんは、2026年時点で高崎健康福祉大高崎高校の2年生。姉二人と同じく陸上部に所属し、1500メートルと3000メートルを中心に走っています。
2026年5月の群馬県高校総体では、1500メートルで4分39秒37の4位、3000メートルで10分12秒44の5位。6月の関東高校大会にも駒を進め、1500メートル予選で4分47秒76を記録しました。
中学時代から注目されていた選手で、2025年1月の全国都道府県対抗女子駅伝では群馬代表の8区を走り、アンカー9区の姉・亜莉珠さんへたすきをつないでいます。この大会に聖衣来さんは出場していませんが、それでも、妹から姉へ渡るたすきは、姉妹が同じ舞台に立った珍しい瞬間でした。
聖衣来さんと同じ高崎大類中から健大高崎高へ、という進路も重なります。
まだ高校2年生ですから、記録はこれから伸びる段階。姉たちと直接比べるのは早いでしょうが、ただ三姉妹がそろって長距離を続けていること自体が、家庭の環境をよく物語っているように思えます。
(出典:高崎健康福祉大高崎 陸上競技部「令和8年度関東高等学校陸上競技大会結果」、不破姉妹のたすきリレー(2025年1月12日・全国女子駅伝))
父親の噂は本当?
ネット上では、不破さんの父親について「元短距離選手の不破弘樹さんでは?」という説がよく見られます。同じ群馬県出身で、同じ「不破」という名字。しかも不破弘樹さんは1984年ロサンゼルス五輪の日本代表だった短距離選手ですから、話が大きくなるのも無理はありません。
ただ、これは事実ではありません。拓殖大学駅伝部の公式Xは2022年2月、はっきりと否定しています。
「ロサンゼルスオリンピック日本代表の『不破弘樹』さんと『不破聖衣来』の血縁関係は全くありません!」
同じ群馬県出身で同じ名字であることによる取り違え、というのが実際のところです。
一部のプロフィールでは、父親は陸上経験者ではなく、学生時代はサッカーをしていたと紹介されています。母親についても、競技歴を含めて公表された情報はほとんどありません。
つまり「父親が有名な短距離選手だったから速い」という筋書きは、根拠のない噂ということになります。
実際の強さは、中学から積み上げてきた練習と、故障と向き合いながらの調整の結果でしょう。
ただ、家族がスポーツに理解のある環境だったことは確かです。三姉妹がそろって陸上を続け、朝の持久走に付き合った姉がいる。才能だけでなく、日常の積み重ねを支える土台があったのだと思います。
(出典:拓殖大学駅伝部 公式X(2022年2月9日)、Wikipedia「不破聖衣来」)
まとめ
不破聖衣来さんは今、三井住友海上の一員として、マラソンという新しいステージに立っています。2026年8月の北海道マラソンで初挑戦2位、2時間26分04秒。目標の2時間30分を大きく上回る走りで、2027年10月3日のMGC出場権を一発で手にしました。
振り返れば、18歳で出した10000メートル30分45秒21という衝撃の記録から、故障で約1年半の空白を挟んでの復活でした。だからこそ、この2位にはタイム以上の重みがあります。
今後の焦点は2つ。2026年11月22日のクイーンズ駅伝で、チームの順位をどこまで押し上げられるか。そして2027年10月3日のMGCで、2時間24分台を出した新谷さんら上位陣にどこまで迫れるか。
本人が「まだまだ力が足りない」と言う以上、伸びしろはまだ残っているはずです。
家族の面では、姉・亜莉珠さん、妹・珠衣琉さん、そして陸上とは無縁だったという父親。三姉妹が同じ競技を続ける環境が、不破さんの土台をつくってきたのでしょう。
父親をめぐる噂は、所属する拓殖大学駅伝部の公式発信ではっきり否定されていますので、そこは落ち着いて見守りたいところです。
不破聖衣来さんは現在23歳。
マラソンランナーとしては、まだ始まったばかりの年齢です。2028年のロサンゼルスへ向けて、これから1年が勝負どころになると思います。
※2026年10月28日時点で確認できた情報をもとにしています。

出典:インスタグラム



コメント