こんにちは。50代副料理長です。
皆さんは、電気もガスも使わず、「水だけ」で食材をアツアツに加熱できるアイテムがあるのをご存知でしょうか?
その名も「モーリアンヒートパック」(日本製)。
防災グッズとして非常に有名ですが、実はキャンプや登山、そして車中泊といったアウトドアでも大活躍するポテンシャルを秘めています。
車中泊の調理といえば「ガス(カセットコンロ)」か「電気(ポータブル電源+IHや炊飯器)」の二者択一になりがちです。しかし、どちらも狭い車内では火災や一酸化炭素中毒、あるいは電気容量の限界といったリスクと隣り合わせ。
そんな中、「水だけで温められる」というこのアイテムが、果たして「狭い車内での調理の選択肢になり得るのか?」を実際に検証してみました。一度体験しておけば、災害時などの「いざという非常時」にも迷わず使えますからね。
今回は、あえて狭い車内で実際に使ってみて分かったリアルな使い心地、車内の湿度や匂いの変化、そして「絶対に常用してはいけない理由」を忖度なしで正直にレポートします!
1. モーリアンヒートパックとは?Mサイズのセット内容
今回Amazonで購入したのは「Mサイズ」のモーリアンヒートパックです。
中に入っているのは以下の通り。
- 強度の高い加熱袋
- 発熱剤(2袋)
この発熱剤に水をかけることで、なんと最高100℃近くまで温度が上昇し、その熱と蒸気で中に一緒に入れた食材を加熱する仕組みになっています。
Mサイズの場合、温められる目安は以下の通りです。
- レトルト食品 + パックご飯(各1個)
- おにぎり 2個程度
- 缶詰 2缶
今回は、ダイソーで購入したお馴染みの「グリーンカレー」と「パックご飯」を温めて、アツアツのカレーライスを作ってみたいと思います。(実は一緒に餃子も温めようと企んでいたのですが、さすがにMサイズの袋には入りきりませんでした。欲張りすぎは禁物です!)
2. 【超重要】車内使用での最大の注意点「水素ガス」
検証を始める前に、説明書の注意書きを読んでいて見逃せない一文を見つけました。 それは、「反応時に微量の水素ガスが発生する」という記述です。
水素ガスは引火性の高い気体です。 そのため、密閉された狭い車内でこのアイテムを使うのは、安全面から考えて絶対に良くありません。常用は絶対にお勧めできません。
もし車中泊や災害時の緊急避難中に使用する場合は、必ず「十分な換気」を行い、窓を開けて安全に配慮した状態で行うことが絶対条件になります。
今回は、窓をしっかり開けて換気を徹底した状態で、現実的に車内でどう機能するのかを見ていきます。
3. 実践!水を入れて加熱スタート。車内の結露や匂いはどうなる?
パックご飯とグリーンカレーを加熱袋に入れ、発熱剤をセットして規定量の水を注ぎます。
水を注いだ瞬間から、すぐにコトコト、シューシューと激しい音が立ち上り、白い蒸気が噴き出してきました。触ってみると、袋全体が驚くほどアツアツになっています。 この激しい音を聞きながらじっと待っていると、なんだか鳥のさえずりのように聞こえてくるから不思議なものです。
ここで、車内の環境変化を細かくチェックしてみました。
- 結露や湿気は? 最初は勢いよく湯気が出たので「車内が結露でビショビショになるかも」と心配しましたが、換気をしっかりしていたおかげもあり、窓ガラスが曇ったり結露ができたりすることは今回はありませんでした。思ったよりも湿気はこもらない印象です。
- 匂いは? 発熱剤特有のツンとするような薬品臭などは一切なく、ほぼ無臭。これなら狭い車内でも匂いを気にせず使えます。
- 温度の持続時間は? 約12〜13分ほど経つと、白い蒸気はほとんど出なくなりました。ただ、袋の底にある発熱剤自体は依然として熱い状態をキープしています。
なお、説明書によると「環境温度が20℃」を基準としているため、真冬の氷点下のような極寒の車内では、ここまで十分な加熱パワーを発揮できない可能性がある点は頭に入れておいた方が良さそうです。
また、今回はペットボトルの綺麗な水を使いましたが、雨水や川の水、池の水でも発熱させることができるのがこのアイテムの強み。まさにサバイバル仕様ですね。
4. 火傷に注意して開封!映えを気にせず、いざ実食!
加熱開始から約15分。 十分に温まったようなので、袋を開けていきます。中の蒸気や水滴はかなりの高温になっているので、火傷には細心の注意を払ってください。
取り出してみると……おお!ご飯もカレーのパウチも、持てないくらいアツアツに仕上がっています!
(副料理長たる所作として、部下には見せられませんが)取り敢えずお皿に移し替えるなんて面倒なことはせず、パックご飯の上に直接グリーンカレーを豪快にかけて、このままいただきます!
スプーンですくって一口。
「うん、しっかり温まってる!」 お米の芯まで熱が通ってモチモチしていますし、カレーもフーフー言ってしまうほどアツアツ。 モーリアンヒートパックで作ったグリーンカレー、本格的な辛さでめちゃくちゃ美味しいです!(辛すぎてちょっとむせそうになりましたが。笑)
キャンプ場のように火が使えない場所や、夜間に静かに食事を済ませたい時でも、これなら温かい極上の食事が楽しめますね。
使用後の片付けも非常にシンプル。
- 中の発熱剤: 温度が完全に下がったことを確認し、お住まいの自治体の区分に従って処分します(一般的には「使い捨てカイロ」と同じ扱いで燃えないゴミ等になります)。
- 残った中の水: 有害物質は含まれていないため、普通に流し(シンク)に捨ててしまって大丈夫です。
5. まとめ:車中泊目線での「正直な」総評
実際にモーリアンヒートパックを車内で使ってみての結論です。
「車中泊の常用としては極力使わない方がいい。ただし、災害時の防災リュックには間違いなく必須の神アイテム!」
偉そうなことを言うようで恐縮ですが、ガスや電気、そしてこのヒートパックも含め、車中泊という「極限の密閉空間」で調理を行うこと自体、常に何らかの危険(火災、一酸化炭素、水素ガス、電気ショートなど)が伴います。
周りに迷惑をかけないためにも、また自分自身の安全のためにも、正しい知識と徹底した換気対策が欠かせません。
その点を踏まえると、水素ガスが発生するヒートパックを、毎回の楽しい車中泊でメイン調理器具として使うのは、あまり合理的ではないと感じました。
普段は安全なポータブル電源や、換気を徹底したガスコンロの方が扱いやすいです。
しかし、「いざという非常事態」における実力は計り知れません。 電気が止まり、ガスも使えず、水しか手元にない避難生活のなかで、このヒートパックがあれば「温かいご飯」を食べることができます。
被災時の不安な心において、温かい食事は何よりの薬になります。
防災リュックに忍ばせておく価値は間違いなくありますし、だからこそ「本番」で焦らないために、こうして一度車中泊やキャンプで試しに使って練習しておくことを強くおすすめします。
今後も、こうした「防災アイテムを実際に車内で使ってみる」といった、車中泊×防災目線でのリアルな情報発信を続けていきたいと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。良い旅を!


コメント